トップページ > 良く解らない人(若葉マーク) > 絹糸の特徴と言うかややこしい所
糸の若葉マーク ② 絹糸の特徴と言うかややこしい所
皆さんが想像する「一般的な絹糸」のイメージとはどんな物でしょうか?
多くの方が「白く、しなやかで、光沢があって綺麗な糸」とお思いでしょう。
確かに絹糸には「白く、しなやかで、光沢があって綺麗な糸」の状態もございます。
でも絹糸を製造した直後の状態(生糸撚糸という状態)では、実は「硬く、生成り色(乳白色よりも黒目)、そして光沢が無いのです。でもこれもまぎれも無く絹糸なんです。
え~~~っ?とお思いの方は一度、下の写真をご覧下さい。
他の天然繊維と比べて圧倒的な光沢としなやかさが故、古来の絹糸のご用途のほとんどは、
精練した絹糸になりますので、皆さまのご用途でもほとんどが必要になってくると思います。
さ~ここから専門用語も入りややこしくなってくるぞ~~~
蚕蛾(かいこが)の吐き出す生糸で作られた絹糸には、もともと天然の糊状の成分が付いていて、糊の成分を落とさない状態だと実は固いんです。光沢も無いのです!
その為、しなやかな光沢のある絹糸を使用したい時には、アルカリ性の液体で炊き込み、糊の成分だけを落とし繊維質だけを残すのです。これを専門用語で「精練(せいれん)」と言います。そして精練されていない糊の成分の残っている固い状態の絹糸を「未精練の状態」と言うんです。
当方の絹糸の多くを未精練の状態で保管しております。それは品質の低下や色の黄ばみを押さえる為なんです。糊の成分は絹糸を色々な面で守ってくれているのです。
よって使用する際に精練をする事で、常に皆さまに白く綺麗な絹糸を使って頂けるのです。
ちなみに精練によって糊が落ちた絹糸は、精練前より25~30%ほど軽くなります。
これが糊の重さなんです。
だからご注文後に精練加工が必要になるんです。そして 当方も業者さんに依頼する為、有料になってしまうのです、、、。
ちなみに精練加工をすると発送までに約1週間かかりますのでご注文の際ははお早めにっ!
精練も染色と同じく「カセの状態」でないと出来ないのです。だから当方の在庫は業者には最適な状態「未精練のカセ状」なのです!
簡単に言うと、「絹糸は精練すると綺麗になる!そして軽くなる!」それだけ!笑
余談ですが、絹糸にもともとついている天然の糊状の成分は「セリシン」と言い、シルクプロテインと言う名前で多くのシルク化粧品や健康食品、衣類などに利用されているんです。
ここから先は少しマニアック編 読まない方が良いかも、、、汗
上記では最後に絹糸にもともとついている天然の糊状の成分は「セリシン」と説明しました。
が、、、それでは実際に絹糸として着物などで使用される繊維質の部分は何と言うでしょう?
答えは「フィブロイン」。これがしなやかで光沢のある成分なんです。
絹糸と言うシルク繊維は、蛾(が)が蛹(さなぎ)になる際に作る繭玉(まゆだま)から作った繊維で、実は色々な種類があるのです。
ここでの説明は実際に流通している2種類に限定します。
まずは「家蚕糸(かさんし)」着物、帯地、高級スカーフなどに使用されている、白くしなやかで光沢のある種類。養蚕農家さんが桑の木を育て、室内で蚕を育て作った繭玉で出来た絹糸。
次に「野蚕糸(やさんし)」天然の蚕蛾がクヌギや樫に繭玉をつくりそれを使用して作った絹糸。現在、その中でもニットなどに多く使用されている、別名タッサーシルクとも呼ばれる柞蚕糸(さくさんし)という種類が唯一野蚕糸の中で流通しています。
どちらも同じシルクというくくりには入りますがどちらも「繊維の成分」「糊の成分」が違うため、精練の際に使用する薬品の種類も異なります。
※和装で使用される、古来の絹糸のご用途のほとんどは、精練した「家蚕の絹糸」になります。
撮影などでご使用の場合はこちらの家蚕(下側にカセの状態もあります)をお勧めします。
昔から使用されていた絹糸と言って「野蚕」を掲載すると解る方はすぐに気付きますので。