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金糸・銀糸について
糸の若葉マーク ③ 金糸・銀糸について
絹糸専門店の当店で唯一の絹糸以外の販売している糸。
それは金糸・銀糸です。
金糸と言ってもおそらくピンと来ない方が多いと思いますが、私たちの生活の中でもたまには見ているんです。それは「和装の帯地」「お祭りの山車(だし)や御輿(みこし)」「神社やお寺の飾りつけ」「お坊さんの衣装」「洋服についているラメ」「釣竿に短く巻かれている飾り」そして「池乃めだかさんの金キラな衣装」も金糸が使用されているんです。改めて数えると意外に多いですね。
では金糸を簡単に説明していきましょう。
金糸とは、「芯になる糸」に細く裁断した「テープ状のフィルム」をらせん状に等間隔に巻きつけた物で、「芯になる糸」「テープ状のフィルム」の素材によって、それぞれ種類が違い、特徴を活かした用途で使用されています。それでは各部分の材料の説明をしていきましょう!
A「芯になる糸」の素材は、繊維素材。ポリエステル、綿、生糸などありますが、近年ではポリエステルか綿の商品がほとんどです。
B「テープ状のフィルム」は、「和紙に本金箔を貼り付けた最高級」の物から「セロファンフィルムに銀を蒸着した物」。説明の為、わざと隙間をあけた状態で撮影しております。
だいたいどのようなものかお解り頂けたでしょうか?
生糸・絹糸屋の当店販売の金糸でも一切、シルク(絹)を使用しておりません。 汗
ではここから上記のフィルム。番号で言うとBに関してもう少し掘り下げてご説明していきますね!
下の左の画像「金色に見えるフィルム」は何層もの素材が積み重なって構成されているもので
これが巻きつけられ金糸・銀糸が出来上がります。
右側の「フィルムの詳細画像」を見て頂ければ、お解り頂けるのではないでしょうか?
◆「通常の金糸」の構造詳細
①フィルム 極薄のフィルム。
②金属層 極薄の銀(Ag)をフィルムに貼り金属の光沢が出来上がるんです。
③塗料層 銀(Ag)の上に黄色の塗料を塗ると金色が出来上がります。銀はそのままかな?
④コーティング層 銀(Ag)は水や酸によって黒く焼けてしまいます。簡単な防止策として、、、
ちなみに金属層に銀を使用して作られた金糸は「銀ベースの金糸」と言い、金属層にアルミニウムを使用した金糸は「アルミベースの金糸」と言います。
また、銀の素材が柔らかい所から「銀ベースの金糸」は「ソフト金糸」とも呼ばれています。
一般的な金糸はこのような感じです。
これでかなり金糸についてお解り頂けたでしょう!
さ~ここから金糸の弱点、、、
上記の説明をご理解くださった方は解るとは思いますが、、、
①取り扱い注意 その1 (水にはご注意下さい)
銀をベースにしている金糸は、コーティングをしているものの汗や雨、湿気により銀が酸化して黒く変色する事があります。 銀を使用しているので通常は仕方ない事だとお考え下さい。
「アルミをベース使用したシリーズ」「水に強いシリーズ」もありますが、申し訳ありませんが細い金糸しかないんです、、、ごめんなさい。
②取り扱い注意 その2
金糸は折り曲げたり、強く押し付けると表面のフィルムに凹みが生じます。これによって若干光沢が変わりますが金糸の構造状上仕方が無い事だとお考え下さい。特に太い金糸はこのような理由で紙管巻きはお断りしております。
③取り扱い注意 その3
刺繍などにより狭い部分に通すなどで、摩擦により巻いてあるテープの境目が広がったりする事が正直ございますが、金糸の構造状上仕方が無い事だとお考え下さい。シリコンなどで少しでも滑りを良くしてください。(金糸によっては予防策に黄色に染色された芯糸を使用しております)
と言う事で、、、金糸を取り扱いの際には、大切に取り扱い下さいませ。
西陣の帯地やお祭りなどの山車・祭礼幕なども、銀ベースの金糸を使用されている事が多いですが、おそらく少しぐらいの雨なら大丈夫だろうと言う事で、、、使用されています。
これまでお電話等でお客様に言われて困った内容、、、笑
「絹100%の金糸を下さい!」って、、、
それって絹糸を金色に近い色に染めた糸の事を想像されているんですかね?
「全部が金で出来た糸ありますか?」って、、、
それって純金の針金の事ですか?それとも純金のワイヤー?、、、どちらにしても当店にはありません。貴金属店に行って下さい!
また、最近ではアクセサリーなどの用件でお問合せを多く頂きますが、上記にも書きましたが
正直、金糸は水に弱いです。(水に強いシリーズもあります)
また細いテープを巻きつけた形状の為、正直、首にかけた際に若干風合いが良くないかもしれません。ご利用の際はご理解下さいませ。
以上である程度の説明は、おわり。ふ~疲れた。
本金糸は高額になります。見ると欲しくなる方は見ないで下さい。
本当に良いんですか?
本当に見ちゃいますか、、、?笑
最高級の「本金糸(ほんきんし)」になるとどうなるのか?
上側の④画像の数字の部分を利用してご説明させて頂くと、、、
◆「手押し本金糸」の構造詳細(裁断前のシート状で作業されます)
①和紙 和紙を使用した物は、まずは和紙に漆(うるし)を塗ります。
②金属層 本金箔を張り合わせます。
③塗装層
④コーティング層 簡単な防止策として、、、
◆「蒸着本金糸」の構造詳細(裁断前のシート状で作業されます)
①フィルム 極薄のフィルム。
②金属層 特殊な技術で本金を気化させてフィルムに付着させます
③塗装層 少し補正という作業をしております。よってロットによる色の差が出る場合が、、、。
(あまりにも薄く金属を付着させているので、、、 このような作業が必要らしい、、、
④コーティング層 簡単な防止策としてしております。
本金糸についても良くご理解頂けたと思います。
金糸と言ってもすべてが「金(Au)=本金(業界ではこういいます)」を使用しているものでは無いと言う事も同時にご理解頂けたと思います。
しかし本金糸は本当に高額になります。
当店でも1000mで20000円程度が細め(太くなれば高額になります)の金糸になります。
余りにも使用頻度が少ない為、太さのレパートリーも正直少ないです。
どうしてもと言う方は、お金を出せば作成してもらう事は正直出来ますが、、、高額品の上、ロットもかなり大きくなりますのでお問合せの方は覚悟の上、お願いします。 最低ロットでも総額100万円以上になります。冗談でない本当の話です。
それだけ特殊なんです。
現在、高級呉服と書かれていても「銀(Ag)」をベースに作られた金糸を使用している織物がほとんどです。 「金(Au)=本金」の金糸を使用している商品には、10~20倍の材料代を使用しているのですから、必ず「本金糸使用」とメーカー側も書きます。
逆に言えば「金糸使用」としか表示のない物は、銀やアルミの上に黄色の塗料をふき付けた「本金糸」に似せた「まがい物」である。(本金糸以外はまがいとも呼ばれる事もあります)
以上ちょっとした和装業界のうんちくもいれてご説明させて頂きました。
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